2022-03-18
不動産の売却を検討する際、慎重にチェックしておきたいのが売買契約書で交わされる契約の項目とその内容についてです。
不動産という大きな商品の売却ですから、記載されている内容が詳細で多岐にわたるからといって曖昧なまま事を進めては、のちに思わぬトラブルを招きかねません。
ここでは、売買契約書にはどのような内容が含まれているのか、また、注意すべき点を土地売却に想定して解説します。
売買契約書は、売主と買主双方が売却額や諸々の条件に合意した段階で、通常は仲介する不動産会社が作成します。
それに先立ち、宅建業法で義務づけられた重要事項説明書が宅地建物取引士から交付され、記載された権利関係や取引条件などの詳細内容に問題がなければ売買契約書作成へと進行します。
売買契約書に記載する契約内容は基本的に自由ですが、一般的には以下のような内容がベースとなっています。
●手付金の額と手付解除可能期限
●売買金額と支払い方法
●所有権・物件の引き渡し条件(期日や設備修復など)
●売却する不動産の面積・所在地
●固定資産税・印紙代など公租公課やその他の負担規定
●自然災害など危険負担に関する規定
●契約違反による解除と違約金の規定
●特約事項
ほかに、売主側は「物件状況等報告書」を提出し、瑕疵(現存する欠点)を事前に報告する必要があります。
また、売買契約書をもとにした契約成立のタイミングでは、多くの書類提出が必要となります。
引き渡し時にも求められる書類その他とあわせれば20種類前後にもなりますので、こちらの事前準備も充分にしておくべきでしょう。
売買契約書を交わす際、注意点として気にとめておきたいのが手付金についてです。
手付金には契約締結の証明目的である「証約手付」と、売買契約の解除を想定した「解除手付」、契約に反した場合に没収される「違約手付」の3つがあります。
一般的には「解約手付」として用いられることが多いのですが、ここで気をつけたいのは売買金額に対する手付金のパーセンテージ設定になります。
通常は5~20程度が妥当とされていますが、多すぎると解除の際の負担が大きくなりますし、少なすぎても買主の手付解除に安易につながりかねないので、慎重に決めたいところです。
もうひとつ、大きな注意点としてあげられるのは、契約解除に関する問題です。
契約解除には、自然災害などが原因の"危険負担"によるものや"契約違反"が原因のもの、また、"契約不適合責任"によるものなどがあります。
すべてが重要で精査が必要ですが、近年、民法で売却側の責任が強化された「契約不適合責任による解除」には特に注意を払う必要があるでしょう。
売買契約書に記載しておくべき欠陥(土壌汚染など)が契約成立後に発覚した場合、売主には瑕疵担保責任が問われ、賠償責任まで負うケースもあるからです。
売買契約書には専門用語なども多く、とまどうことが多々あるかもしれません。
契約書の丁寧な理解に努め、契約後にトラブルが発生することのないように心がけましょう。
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